2015年 12月 03日
「意見を共有する」よりも「想像を共有する」しかけづくり。
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いろんな人が意見を出すワークショップを企画してほしい。
でも、目の不自由な人、耳の不自由な人が参加するので、
いかに健常者と同等に意見を共有できるか。
先日の「災害時要援護者シンポジウム」は、少し難題でした。
ボクは「グラフィック・デザイナー」。
しかも「デザイン図解」。
今まで「目に見える」をあたり前の条件として、
様々なものを作ってきました。
でも、今回のような
「全員が同等にイメージを共有できる“ビジュアライズ”」
ってどんなのだろう?
点字?手話?
いやいや、今回大切なのは「言語的情報」の可視化ではなく、
「今、目の前にない状況」、
すなわち「想像を共有するしくみ」を作るべきだと考えました。
「もしも地震がきたら…」
ボクらはどんな状況を想像するだろう?
人によっては規模の大小、シチュエーション、範囲の広さなど、
まったくバラバラなイメージを浮かべます。
健常者も、目の不自由な方も、
頭の中でイメージすることは変わりません。
そこで、イメージの解像度をできるだけすり合わせるしくみ、
あくまでもイメージ想起の「トリガー」となる図解を作りました。
机いっぱいに、
(1)家の中
(2)屋外(避難経路)
(3)緊急避難所
(4)長期避難生活
の4つのシチュエーションを「図」で用意しました。
そうすると、介助者の方が、
ことばや手話でナビゲーションしたりしながら、
参加者の方々は、
「視覚障害者」の頭の中のイメージと、
「健常者」の目に見えるイメージを、
ほぼ同等にしようと進めてくれます。
目が見える人どうしでも、
同じイメージを共有するのは難しいですね。
でも、今回はみんなが同じ情景を、頭の中に描いてくれました。
その条件の上でワークショップを行うと、
「こんなに意見が出たのは初めて」と言ってくれたように、
さまざまなアイデアが表出されました。
図は「目に伝えるもの」と思っていましたが、
「頭の中に情景を描くきっかけツール」でもあるんですね。
このあたり、もっと追究してみたいと思います。
by at_caprice2
| 2015-12-03 20:44
| デザイン図解のメソッド