2011年 12月 15日
ナレッジ×対話×教材デザイン
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介護関係の2冊目の教科書デザインも、いよいよ佳境にはいってきました。
2冊目は「サービス提供責任者」の養成マニュアルです。
教材デザインについて、いくつか問合せがあったので、
ちょっと説明しておきますね。
カプリス(デザイン図解)で作る教科書は、
いわゆる学術研究者が原稿を書いて、
それを「分かりやすくデザインする」というものではありません。
特徴は、そのプロセスにあります。
現場のスタッフの経験知、暗黙知を引き出し、まとめていくものです。
市販されている介護関連のマニュアルは、
たいていは法律に基づいた情報で、
書類の書き方だとか、出しかただとか、
いわゆる「ガイドライン」的なものが多くて、
実際の現場では、辞書的には使えても、スタッフの養成にはならない、
といった現状があるそうです。
そこで、クライアントさんは
当社の「チームメイド・デザイン」的な手法に目をつけ、
どうにかして「現場の経験知を集約したマニュアル」を作りたい、
ということで、当社との取り組みがスタートしました。
原稿を作るプロセスに特徴があります。
はじめは、理想だけあって、構想も構成もなにもない状態、
まったくの白紙状態からのスタートです。
実際に現場で働く人と、経営陣を交えて、
実際におこったケーススタディや、勘、その他の暗黙知を表出させながら、
さまざまな立ち位置で対話します。
ボクのような「介護」を知らない、まったくの素人がたまに質問することで、
埋もれてしまっている「あたりまえ」に気づくこともあります。
ごくたまに経営者と現場スタッフの、考えの違いも浮き彫りに。
そうこうしながら、こちらで原稿をまとめてゆきつつ、
デザインに落とし込んでゆくことで、少しずつまとまってきます。
とても時間のかかるやり方ですが、
完成物は「現場指向の使えるもの」になるし、
何よりも作り込みのプロセスが「対話」であることから、
様々な気づきや共感、相互理解などにつながることが、
最大のメリットです。
スピード時代といわれる昨今ですが、
こうやってじっくり時間をかけならデザインしてゆくことも、
ちょっといいかもしれませんね。
by at_caprice2
| 2011-12-15 11:41
| カプリスのしごと