2009年 03月 19日
マルタンさんの視点
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「ものの見方はひとつじゃないよ」
私たちはアイデアをひねるとき、一つの固定観念にとらわれないよう、
ものごとを多面的に見つめることが求められます。
この考え方を、子どもたちに「戦争を考えよう」というテーマにまで昇華させたのが、
アートディレクターであり、絵本作家であり、ご夫婦で活動されている「マルタンさん」です。
マルタンさんの行っている運動は「くるりんぱ活動」。
なんでもユネスコの「世界寺子屋運動」にまで発展したそうです。
「くるりんぱ」とは、上下さかさまに見ても、何かの動物の絵になっているもの。
シンプルですが、実に楽しい絵です。
子どもたちの前でこの絵を見せながら、夫婦で掛け合いが始まります。
「この絵は何に見える?僕はウマだね。」
「私はペンギンよ。」
「何言ってるんだよ!ウマに決まってるじゃないか!」
「あなたこそ何言ってるの。ペンギンよ!」
「じゃあ、どっちが正しいか、みんなに聞いてみよう!」
…と、子どもたちに質問すると、みんなは「どっちも正しい!」と叫びます。
「世界では戦争がおこり、人々がいがみ合ったり殺し合ったりしている。
でも、さっきの絵を思い出してみて。
どっちが正しいとか、悪いとかでケンカするのじゃなくて、
相手の立場や気持ちになって見方を変えてみれば、
その国のいいところや文化が見えてくるかもしれないよ。」
このように人間関係の難しい問題を、
グラフィックの力で、楽しく分かりやすく伝えている人がいます。
実にすばらしい活動ですね。
たしかに、人をある側面だけで判断し、「決めつける」ことで起こるトラブルは多いもの。
「決めつけ」は、デザインの仕事でもタブーだけど、
人と人とのかかわりあいにおいてもタブーなんですね。
あらためて「グラフィック=コミュニケーション」であり、
「視点をもつことの大切さ」を考えさせられます。
カプリスもこんな風にグラフィックの力で、社会の役に立てたらいいな…と考えています。
by at_caprice2
| 2009-03-19 08:49
| デザインのお話