2010年 04月 30日
ちかぼさんの自然への愛情
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ちかぼさんは、プチファーブルと言われ、
虫や花、小さな動物などを精密に描き続けた画家です。
1911年生まれ。
戦前はグラフィック・デザイナーとして、山名文夫さんに師事し、
戦後、絵本の挿し絵画家として、数多くの精密画を描いています。
60歳頃からは「ファーブル昆虫記」を描くことをライフワークとし、
昨年、99歳でご逝去されました。
ちかぼさんの描く世界は、極めてリアルなタッチ、クリアな色彩。
写真のように精密だけど、決して写真にはない、生命感があります。
「瞬間のデフォルメ」というのか、一枚の絵の中に、
その生命の営みを見事に描ききっています。
自然への愛がなければ、決して描くことのできない世界です。
ちかぼさんのお話の中で、
「私は“雑草”という言葉は使わない」とあります。
どんな小さな自然に対しても、敬意と愛情を持って接しているのがうかがえますね。
この展示会を観て、子ども時代を思い出しました。
小学校の時、ボクに色々なことを教えてくれたのは、「図鑑」です。
今、ボクがこの仕事をしているのも、
子どもの頃に「こんな図鑑を作るような仕事をしたい」と、
おぼろげに思っていたのが、今ある自分です。
その図鑑に描かれている世界、そのものでした。
(昔の図鑑は、写真じゃなく、本当にこういった絵でした。)
そんな自分の原点に気づかせてくれた、
それこそ“小さな”展示会。
「熊田千佳慕展」は、5月23日まで、伊丹市立美術館で開催中です。
【参考】熊田千佳慕さん公式サイト
【参考】伊丹市立美術館公式サイト
by at_caprice2
| 2010-04-30 20:14
| カプリスの日常