2009年 06月 04日
ベネトンの広告
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広告というのは“ステキな世界”を提案し、夢を与えるもの…。
そんな固定概念を、根底から覆したのがベネトンの広告です。
オリビエロ・トスカーニが作ったベネトンの一連の広告は、
私たちに(現実)をつきつけられ、強いショックを与えられます。
たとえば人種差別やエイズ、戦争、難民問題…。
そのメッセージには「甘い夢のような」売り文句は一切なく、
「ファッションとはこうあるべし」という企業の強い精神性が反映されています。
今現在、「大衆」ではなく「個の市場戦略」がマーケティングの主流になっています。
この考え方を「大衆文化がまだ幅を利かせている」1980年代に、
すでにベネトンは気づいていたのです。
全員に好かれようとは思わない。
分かる人だけにこの強いメッセージを伝えたい。
そんな考え方がベネトンの広告シリーズに表れています。
ベネトンのコアなファンは、学生運動などで「戦ってきた世代」。
与えられるのではなく、自ら、自分の主張を持ち、手に入れてきた世代。
そういった人たちが「ファッションとはこうあるべし」というコンセプトを共感することで、
根強いベネトンファンを形作っていくのですね。
キャッチコピーも何もない、強いビジュアルメッセージが、
見る人に様々な考えを想起させ、共感する人はより強いシンパシーを感じる。
80年代の「モノあまり時代」に、何よりもいち早く仕掛けた伝説の広告シリーズです。
ベネトン広告シリーズで、一番有名な広告です。
by at_caprice2
| 2009-06-04 00:33
| デザインのお話